研究課題
赤道域は地表へ入射する太陽放射エネルギーを最も強く受ける領域であり、地球大気の各種現象の駆動源であって地球環境変動研究上の最重要地点である。しかしながら、観測データの不足から赤道域大気現象はまだ多くの未解明の謎を残しており、高時間分解能で大気の3次元運動を連続観測することが重要である。一方、大気乱流の解明は、大気中のエネルギー、運動量および物質の輸送を理解する上で本質的に重要であるが、その観測は極めて困難である。本研究では、気候学的に重要な「インドネシア海洋大陸」域における、赤道大気レーダー(Equatorial Atmosphere Radar: EAR)を中心とする観測・調査により、物質輸送に寄与する乱流の実態や生成機構を解明することを目的とする。海外での観測実験に先立って、まず信楽MU観測所において、MUレーダーイメージング観測実験を行った。5周波数を送信毎に切替えながら、25群での受信信号を独立に検波処理し、各群で記録された複素時系列データからイメージング解析処理を行い、慣性重力波をトリガーとして発生したケルビンヘルムホルツ不安定の構造や、乳房雲内部などにおける乱流の微細構造を初めて明確に捉えることに成功した。ついで、MUレーダーで開発された周波数イメージング技術を赤道大気レーダーに適用し、初めて赤道大気における乱流の微細構造を詳細に捉えることができた。その後ライダー、気象レーダー等との同時観測データの解析を進め雲物理量と乱流量との関係が明らかにされつつある。
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