研究課題
インドネシアおよびインドでの計4台の流星レーダーおよび中波帯(MF)レーダー観測データを用いて中間圏・熱圏下部(MLT)領域の風速変動特性を解析した。特に大気潮汐、赤道波、大気重力波などに着目し、さらにこれらの波動の励起源とされている対流圏の積雲対流活動について研究した。大気潮汐は、低緯度では一日と半日周期成分が卓越するが、高調波の8、6時間成分も無視できないことが分かった。特に8時間潮汐は明確な季節変動を示し、Tirunelveli(インド)、Koto Tabang(西スマトラ)、Pameugpeuk(西ジャワ)の間で有意な相関がある。8時間潮汐の生成には、一日と半日周期潮汐の非線形相互作用、ならびに大気重力波の減速効果の重要性が示唆された。一方、対流圏とMLT領域の上下結合の研究に資するため、TRMM(熱帯降雨観測衛星)データを用いて熱帯の降水の長期解析を行った。TRMMの降雨レーダーから求めた降水の鉛直構造に基づいて降水を分類した結果、特に温かい雨と呼ばれる背の低い降水は、陸上で弱く海上に局在し、海上での降水強度は海面水温と良く正相関することが分かった。また、TRMMのマイクロ波放射計データも用いてインド周辺の降水システムの特性を調べた。また、2004~2009年の赤道大気レーダー(EAR)、降雨レーダー、気象衛星の長期データを用いて、世界有数の対流活動域である西スマトラ山岳地域で発生する対流システムの特徴を調べた。日周期対流は下層環境場が弱まった際に発生する傾向があり、季節内変動の活発期前半には対流システムが1~4時間持続する。2時間以上持続する対流システムでは、局地循環の西風成分と東風環境場による下層収束がシステムの維持機構に強く寄与している。一方、不活発期に現れる対流システムは1時間以内の短寿命のものが多く、活発期のような顕著な風速変化を伴わないことが分かった。
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