研究課題
2008年7月14日から12月13日にかけて、電離圏イオン上昇流の研究のため、極域電離圏探査・オーロラ観測を目的とするれいめい衛星と電離圏観測用レーダー網であるEISCAT Tromso VHF radarとSvalbard radar(ESR)を用い、多次元・同時電離圏観測を計38回実施した。これまでの2年間で得られた観測データ、及び、今年度取得された観測データからは、大局的には太陽風の極域電離圏への流入に対応する電離圏活動の上昇が見られるものの、太陽風起源電子の電離圏高度への降下における微細な分布との対応は必ずしも顕著ではなく、エネルギー流入減の太陽風電子のみならず、電離圏状態そのものが電離圏イオン上昇流の生起を左右している可能性が示唆される結果となった。現在は太陽活動極小期であり、活発な太陽風変動や電離圏大気加熱・流出現象の頻度は少なく、今後、太陽活動度が上昇する期間における継続的な観測計画が期待される。また、2009年2、3月に、れいめい衛星のオーロラカメラと同じ波長域で、カナダでの地上オーロラ観測が行われ、現在は観測データの解析と、来年度の継続的・発展的同時観測に向けた検討が行われている。また、れいめい衛星独自のオーロラ発光・粒子の同時観測データに基づき、活発な動きを示す微細なオーロラ活動とプラズマ波動により加速されたと思われるオーロラ電子の相関が調査され、その成果の学術論文掲載が決定された。更に、オーロラ帯域のみならず、中低緯度帯に見られる大気光観測、及び、雷電現象に関連する超高層大気領域内での突発的発光現象(スプライト)に対しても、れいめい衛星搭載のオーロラカメラによる撮像計画が定期的に実施され、初期結果として大気光の高度分布・水平分布データ、スプライトの空間分布が取得されつつある。
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Transactions of Japan Society for Aeronautical and Space Sciences 7(印刷中)
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ページ: CiteID L05105, 03/2009