研究課題
2005年8月に打ち上げられた「れいめい」衛星は極域低高度を飛翔する小型科学探査衛星であり、世界初の高空間・高時間分解能によるオーロラ粒子・発光の同時観測成果をもたらした。この最先端の衛星観測データを精力的に解析し、電離圏・磁気圏結合、及び、磁気圏尾部でのプラズマダイナミクスに関する新しい知見を得た。まず、れいめい衛星データを統計的に踏査したところ、オーロラ発光を引き起こす電離圏への電子降下の加速域の近傍で、逆方向となる下向きの準静電的円磁力線電場構造を示唆する電磁圏イオンの降下を発見し、その継続時間・空間分布が、従来の電子降下を生成する電場構造よりはるかに小さいことを示した。これに関連して、電離圏高度の重(酸素)イオンの加熱・上昇現象が下向き沿磁力線電流領域と高い相関があることが確認され、一度上昇した電離圏起源加熱イオンが上空の下向き電場により再度電離圏に降下するという複雑な運動を示すことが分かった。また、Inverted-V電子のエネルギー・ピッチ角分布に着目したところ、Inverted-Vの端でピッチ角がコリメートしている傾向が見られた。この傾向は、オーロラ形状や活動度によらず確認できることから、Inverted-V電子の主加速領域より低高度にピッチ角を小さくさせる加速領域が存在することを示唆する。れいめい衛星で観測されたパルセーティングオーロラに伴なう降下電子のエネルギー分散についても、波動粒子相互作用にもとづく新しいTime of Flight (TOF)モデルを提案した。このモデルからは、共鳴を引き起こすホイッスラー波動の空間分布や熱的プラズマ密度の情報を引き出すことができるが、推定されたこれらの値は過去の赤道面付近の人工衛星の観測結果と調和的であった。
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J.Geophys.Res.
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巻: 115 ページ: doi:10.1029/2009JA015009
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