研究概要 |
ネパールヒマラヤの海成三畳系に記録された古環境変遷を,アンモナイト・コノドント層序,安定炭素同位体比変動,泥岩の微量元素組成によって検討した.その結果,前期三畳紀では頻繁に還元的海洋環境が出現していたことが明らかとなった.同時に,生物岩である石灰岩の生産性低下も認められ,周辺海域での生物活動が抑制されていた可能性を示唆する.この不安定な底質環境は三畳紀初期の後期には消失し,三畳紀中期から後期にかけて堆積盆は浅海化した.その結果,生物相に富む酸化的環境に移行し,中緯度帯にもかかわらず礁性石灰岩が形成されるような温暖な海域へと変化した.
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