研究課題/領域番号 |
19404001
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70187970)
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研究分担者 |
渡邉 泉 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (30302912)
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 教授 (00152752)
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キーワード | 柱状堆積物 / 汚染史 / 熱帯アジア / 環境汚染 / モニタリング / 多環芳香族炭化水素 / ホパン / アルキルベンゼン |
研究概要 |
本年度は、ベトナムトンキン湾およびフィリピンマニラ湾で長さ1mのコアの採取を行った。マニラ湾のコア、マレーシアジョホール海峡のコア、ベトナムホーチミン川沖のコアの分析を行い、以下の成果を得た。石油汚染のマーカーのHopanesは、ジョホールバル海峡、ホーチミン沖においては表層に向けての上昇傾向が見られたが、マニラ湾では中層で濃度を上昇させた後、上層では横ばいの推移となっていた。またHopanesの産地推定指標C31-35/C30はマニラ湾においては30cm台後半の層でその組成を中東産石油にシフトする動きが見られ、この時期に潤滑油汚染が進行した可能性が示唆された。発ガン物質もふくまれる多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、マニラ湾では過去に上昇期を持ち表層付近ではほぼ横ばいの推移を見せたが、ジョホールバル海峡においては表層に向かっての濃度上昇が見られた。またホーチミン沖は過去にピークを持ち、表層付近ではピーク時の65%前後の濃度を示した。起源推定指標のPyr/Fluoから、マニラ湾においてコア中で燃焼起源から石油起源への変化が見られた。この変化時期がHopanesの上昇時期と一致し、自動車由来のPAHsの水域への負荷量が増加したことが示唆された。合成洗剤汚染指標のLABsはマニラ湾では中層にピークを持ち、表層ではその60%程度の濃度となった。マニラ湾ではLABsの分解指標であるI/Eratioは表層で最も大きな値を示した。これは近年これらの地域で下水処理施設が普及したためであると考えられる。マニラ湾では難分解性のため現在世界の多くで使用されていない分岐型のアルキル鎖を持つアルキルベンゼン(TABs)が表層も含めて検出された。他の地域に比べて最近まで難分解性の合成洗剤の使用が続いていた可能性が示唆された。
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