研究課題
中国の都市の中でも特に北京市は大気粉塵による環境影響が深刻な都市であり、大気粉塵への発生源対策が必要である。北京市では2008年8月に夏季オリンピックが開催され、それに伴って大規模な大気汚染物質の排出規制がしかれ、北京市の大気環境は大きな影響を受けたと考えられる。そこで今年度は、北京市において大気粉塵濃度及び大気粉塵中の水溶性化学イオン成分濃度の測定を行い、オリンピック開催に伴って北京市で行われた環境規制によって、大気粉塵濃度及びイオン成分濃度がどの程度影響を受けていたかを調査した。まず、北京市での規制期間における大気粉塵濃度の変化を見るため、北京市環境保護局で日ごとに公表されているPM10(粒径が10μm以下の大気粉塵)の濃度を調べた。その結果、2001-2007年の7月1日~9月20日のPM10濃度の平均値117±25μg/m^3(n=738)に対して2008年規制期間の平均値は88±25μg/m^3(n=82)と濃度が25%減少しており、統計的に有意な差があることがわかった。次に、中国北京市中国科学院にて捕集された大気粉塵中の水溶性化学イオン成分の合計濃度について検討を行った。2008年のオリンピック開催時規制期間(7月1日~9月20日)における大気粉塵中イオン成分濃度の平均値は35±15μg/m^3(n=9)であり、2005,6,7年における同時期の平均値55±21μg/m^3(n=26)と比較して濃度が36%も減少しており、大気粉塵中の水溶性化学イオン成分の合計濃度に関しても統計的に有意な減少が認められた。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Science of the Total Environment 408(8)
ページ: 1909-1914
分析化学 58(4)
ページ: 287-292
Atmospheric Environment 43(18)
ページ: 2911-2918