研究課題/領域番号 |
19404004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 宏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70344017)
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研究分担者 |
山下 尚之 京都大学, 工学研究科, 講師 (90391614)
吉谷 純一 独立行政法人土木研究所, ユネスコセンター, 上席研究員 (90355834)
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キーワード | エストロゲン / 下水処理場 / 魚類雌性化 / 河川 / 流域管理 / 遊離体 / 抱合体 / 合流式下水道 |
研究概要 |
英国での下水処理場下流でコイ科のRoachの間性化がかなりの割合で見つかったが、わが国では明らかな間性化を起こしている野生コイはわずかしか見出されていない。これまでの報告では、日英での魚類の間性化には大きな相違が、どのような原因に基づくのかが大きな関心であり、1)下水処理方式と位置の相違(下水処理方式)2)エストロゲン排出量の相違(人口当たりの排出量の相違はないが、EE2の使用状況は大いに異なる)3)希釈率(河川流域の降水量と河川勾配の相違による水文状況)4)河川での分解性(流下時間、水温、DOなどの相違)5)魚類の感受性(コイとローチの感受性)が想定されるため、原因を客観的に明らかにすることを本研究の最終目的とし、研究期間では想定される相違のうち、物理的環境、具体的には1)下水処理方式と位置の相違2)エストロゲン排出量の相違3)希釈率など河川特性を明らかにする。 平成19年度は1)分析技術:現地調査で固相吸着として前処理された試料を分析するため、分析方法を新たに開発し、遊離体と抱合体の前処理を簡易化し、回収率を改善させる分析法を提案した。2)現地実態調査:2008年1月に英国テムズ川流域での調査を行った。この結果、英国では冬季に降雨により、河川の希釈率が上がるだけではなく、合流式下水道がほとんどであるため、流入下水、処理水ともに雨水によって希釈されることが明らかになった。また散水ろ床を用いている下水処理場は、抱合体が残留していること、下水処理場の背後の流域からもエストロゲンが検出されること、洪水期のテムズ川からはエストロゲンは検出されないことが明らかとなった。
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