研究概要 |
平成19年度より,旧ソ連核実験場周辺住民の放射線被曝線量評価の解決に向けて、集落ごとの残留放射能の土壌汚染の分布、蓄積量等の詳細な評価を目的として研究を遂行してきた。今年度は、1953年の旧ソ連最初の水爆で被害を受けた核実験場から南のサルジャール、カラウルを中心に集落内外の土壌汚染を調査して、放射性雲の通過センター軸、汚染の広がりの推定を重点に検討し以下の主な成果を得た。 1) サルジャール村周辺において、約40地点からの計120試料の土壌中に残留しているCs-137, Pu-239を分析し、両核種ともに集落から南3-4kmを中心にガウス分布に類似した形で分布しており,センター周辺ではCs-137が10000Bq/m^2程度,集落周辺では5000Bq/m^2程度であることを明らかにした。 2) また,サルジャールから直線で約200km遠方のカラウル村でも30地点計100試料を採取し、集落の北3-4kmをセンター軸にしてガウス分布し、Cs-137が5000Bq/m^2程度の汚染であることを明らかにした。 3) 上記以外に、中性子による土壌構成成分からの誘導放射性核種、Eu-152, Co-60を検出し核分裂核種以外のからの被曝寄与検討に、さらに水爆の構成、規模,中性子束などの情報取得のために原爆材料から生成するNp-237, U-236も初めて測定し、有用なデーターを得た。
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