「ヘリテージ・ツーリズム開発による地域発展の条件は、遺産の重要性(significance)の真正な継承と地域社会(local community)の持続的な発展の相互補完による実現である」とする研究仮説を検証するため、下記の調査を進めた。 フィジー諸島共和国旧首都レブカにっいては、都市史調査、建築調査及び地域社会調査の追加補足を実施し、遺産の重要1生および遺産マネジメントにおける地域社会のポテンシャルのおおよそを明らかにすることができ、ヘリテージ・ツーリズム開発における資源の把握と持続的な発展のための課題をほぼ明らかにできた。これら研究成果の発展途上国への適用として、ヨルダンの歴史都市サルトに対するエコミュージアム手法の技術移転をJICA事業と連携して実施し、異なるコンテクストの地域に対する適用可能性を検証しているところである。さらにヘリテージ・ツーリズム開発における遺産のマネジメントの先進事例調査として、欧州(独・仏・伊)の世界遺産17地域の調査も実施した。 またハワイ州ラハイナおよび宮島厳島神社門前町については、昨年度の遺産の重要性を構成する重要な要素となるコミュニティの有する無形遺産にっいての知見をもとに考察を進め、成果を学会で発表するとともに、広島県下の大学研究者等と研究会において議論を深めることができた。なお、以上の成果は、日本建築学会、日本造園学会、日本遺跡学会等の寄稿論文や論文発表会において系統的に発表した。
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