研究概要 |
現地適応型持続可能な土砂災害防止システムや土砂管理システムを構築するための基本的な事項について明らかにするために、下記のような研究を実施した。 1.大規模土砂災害とジョクジャカルタの変遷 ジョクジャカルタ特別州における過去の噴火等による土砂災害の実態、政府の対策、河川改修や砂防事業の歴史などについて整理するとともに,最近の土砂災害やそれを引き起こしている砂利採取の実態についても社会経済条件を考えながら検討を開始した。また、地域住民の自然災害に対する意識,砂防事業に対する意識,環境に関する意識などに関するアンケート調査について地方政府の有力メンバーと議論し、平成20年度にアンケート調査を実施することになった。 2.2006年の噴火や地震による土砂災害の調査 2006年のメラピ火山の噴火により火砕流が発生したグンドル川において、災害の実態、砂防構造物の効果、河床変動、河床材料などについて調査を行い、噴火時の土砂流出解析のためのデータを得た。 3.メラピ火山地域の土砂動態の把握と土砂動態モデルの開発 火山噴出土砂量、河床変動、支川や本川での砂利採取量および洪水流量に関する資料収集を行い、プロゴ川における土砂収支の実態を明らかにした。その結果、最近の年平均砂利採取量は土砂噴火や侵食による年平均土砂生産量の数倍に及び、この結果深刻な河床低下が生じていることがわかった。また、これらのデータを使って、持続可能な砂利採取管理に関する基本的な考え方を整理した。水土砂動態モデルの開発については、本年度は地形データの作成を行い、モデルの構築も開始した。 4.噴火前後のプロゴ川における河床変動および河川生態系の変化 河床材料の粒度分布および空隙構造の変化をも解析できる河床変動計算法を開発し、水生生物のハビタットを保全する観点からの土砂管理計画の策定に役に立つ解析ツールを開発した。
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