1.硬化メカニズムに関する研究 黄河沈積泥砂の組成および粒度分布のばらつきを調査し、有効利用のための固化法として水熱固化を採用した。砂にCa(OH)2を添加し、200℃以下の飽和蒸気圧下での処理で、ケイ酸カルシウムゲルを生成し、8-12時間でトバモライト(Tobermorite)相を生成、カードハウス構造を有するトバモライト結晶の生成により、固化体強度は大幅に増加し、建材などの汎用的な用途に十分耐えられる素材を低環境負荷で合成可能であることを明らかにした。 2.黄河沈積泥砂の活性化研究 沈積泥砂中に存在する石灰石を活用するために、沈積泥砂の活性化(仮焼)処理を行った。800℃程度で活性化処理することにより、泥砂中の有機物を酸化させ、石灰石を活性なCaOにすることが出来、反応速度、強度ともに大幅に増加させることが可能となった。この活性化処理により、実用上は、Ca(OH)2の添加を大きく削減でき、さらに低環境負荷、高効率処理が可能となった。また、1000℃まで、仮焼温度を上げることで反応速度は低下することも明らかとなった。 3.多孔性機能素材の合成に関する研究 黄河沈積泥砂は中国西部の黄土高原の黄土を主とし、粗粒分は少なく100μm程度の微細な石英を主とし、20%程度の石灰石を伴う。黄土の濃集する部分は目視でも容易に判断でき、採掘にも大きな問題は無い。水熱固化体は、その反応特性から、緻密化を伴わない強度発現をし、メソ細孔(6-25nm)を多量に有し、自律性調湿建材としての利用が考えられる。また、Ca(OH)2の添加により曲げ強度25MPa以上の強度発現をし、Ca(OH)2未添加でも、活性化処理により、20MPa以上の強度を発現することを明らかにした。
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