研究概要 |
(1)中国等での現地調査 中国の〓池を対象にした調査を行った.各水域の代表地点で湖水・河川水の反射スペクトル測定を行うとともに,採水し,植物プランクトン種の同定,クロロフィルa,無機濁質濃度等の測定を行った.また,チチカカ湖に対しても解析の可能性を検討した. (2)現場スケールでのend member標準反射スペクトルの推測と波長別照度鉛直分布の測定 霞ヶ浦と琵琶湖において,a)植物プランクトン,無機濁質の種類と粒度分布,b)吸収,散乱,反射スペクトル特性を測定した.これらをもとに,植物プランクトンと無機濁質の基本情報を反射スペクトル予測モデルに代入し,各end memberの現場スケールでの標準反射スペクトルを予測する手法を確立した.また,4波長水中放射照度測定装置を霞ヶ浦湖心ステーションに設置し,連続観測を行うことから,波長別照度の時間的変化特性を明らかにした. (3)対象水域の衛星画像の解析 時間分解能が高いTerra/MODI,ENVISAT/MERISを解析対象の衛星画像として,2000年以降,対象水域において鮮明な衛星画像が撮影された日時を明らかにした.また,その日の近くで植物プランクトンと無機濁質濃度が測定されている場合,それらをデータベース化した.次に,現地調査を行った湖沼で,水サンプルの植物プランクトンと無機濁質の種類と粒度分布から,それぞれのend memberの標準反射スペクトルを推定した.これと衛星画像をもとに,SDA法により,植物プランクトンと無機濁質の濃度分布を推定し,それらの実測値との比較を行った.また,各成分の光学特性をベースにして,植物プランクトン,無機濁質,溶存有機物濃度を繰り返し法で推定する方式を新規に開発し,そうした手法から推定される濃度分布と実測値の比較も行い,良く一致することを確認した.上記の研究成果をもとに,11月24日に日本,中国の関連研究者を集めて,手法の適用性を議論する国際会議を開催した.
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