研究概要 |
様々な国や地域で,気候風土,風俗習慣・宗教・生活様式などにより永年にわたり培われてきた伝統的建築である風土建築(=ヴァナキュラー建築)について,実測調査・シミュレーションを通して,風土建築が持つ自然エネルギー利用など環境に低負荷なことを定量的に解明し,かつ構造・構法的特徴を明らかにしようとするもので,平成19年度は次の調査研究を行い成果が得られた。 1.マレーシア,東ボルネオ サバ州サンダカン市郊外のフォレスト村とシムシム村にある水上住宅(海上集落)について,水上の住居と陸側の住居の夏期の温熱特性および通風特性を測定し,両者を比較した。水上住居は通風の良さと冷却効果から,陸側の住居より快適であることを示した。さらに集落全体の屋外温熱環境と風環境を測定し,住居密度が屋外の通風に影響を及ぼし,その結果,住居密度が高度化するに従い集落の温度分布が上昇する傾向が明らかにした。 2.上記の水上住居の構造・構法を視察し,特に柱材を人力によって約50cm程度,埋める様子を観察し映像に収めた。 3.上記の集落のマップ化を目指し,現地主要点でのGPSによる位置計測と,ヘリコプターによる上空からの写真撮影を行い,マップ化の基礎資料を入手した。なお,年度当初の計画を若干変更し,トルコ・カッパドキアの地下住居・地下都市の調査より水上住居の調査を優先して行った。
|