研究概要 |
本研究は,ベトナムの歴史都市・ハノイの旧市街(通称36町)について,1)都市史・建築史の観点から,その空聞構成を,2)都市構造・景観調査・居住環境調査によって都市の変容や居住環境に関する問題を明らかにし,3)今日的課題である都市保全に供するための基礎資料の作成及び都市保全の指針作りを行うことを目的としている。 研究の初年度の実績について,昨年度申請書の研究実施計画に従ってまとめると次のようになる:「1.ベトナム側と研究グループを組織化」をまず着手,ヴィエト・アイン氏(ハノイ市36町保存事務所・副所長)およびファム・テユイ・ロアン氏(ハノイ建築大学講師)とともに研究グループを組織,研究期間内で実現すべきこと,方法などを協議した。具体的には広い36通り町のうち,これまでの経過も踏まえHang Bac,Ma Mai,Hang Buonにフォーカスすることを同意,その一部について「2.36町全体の変容過程に関する調査」および「3.建物および街区の実地調査」を共同で実施した。具体的には,町全体については宗教施設,街区・建物レベルではMaMai通りの一部について詳しい調査を行った。また,11月にハノイにおいて,公開の研究集会「Hanoi Ancient Quarter Conservation Study Groups Meeting:Findings of Recent Research」を開催した。ここで,ベトナム側研究者と共同の土壌をつくることが必要と判断,2月に彼らとともに日本の経験と課題を把握する機会を設けた。そのため,2に関して計画していたフランス所在の古写真の収集は,次年度へ回すこととした。「4.歴史的な建物の復元等による分析」「5.デザインコードを組み立てるシミュレーション実験」は,上記集会で一定の端緒が示されたが,本格的には来年度以降の課題である。
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