研究課題
平成19年度は、揚江水に生息する小型鯨類の分布域である三峡ダム下流の宜昌市から上海市までの流域1700kmを、動物の発する声をたよりに曳航式水中マイクロホンにより探査し、ヨウスコウカワイルカとスナメリの分布を明らかにすることを目的とした。小型鯨類は水の中で周辺を探索できる生物ソナー音を頻繁に発している。濁った揚水江では、目視調査による動物の発見には限界がある。そこで本研究では、鯨類のソナー音を受信することで広大な揚子江に生息する2種のイルカを探知した。中国揚水江の水位が下がりイルカの発見が容易になる乾期に、ステレオ式水中マイクロホンを曳航し、1kHzから150kHzまでの広い周波数帯域の音波をモニタしながらヨウスコウカワイルカとスナメリの声を探索した。同時に行った目視調査は、米海洋大気庁と中国科学院水生生物研究所の研究者・学生らによって実施された。3名が1チーム構成し、2名が左右両舷に浮上したイルカの種類、頭数、方位、距離を観察し、1名が現場でのデータ打ち込みを担当した。全域調査の結果から、ヨウスコウカワイルカはほぼ絶滅の可能性が示唆された(Turvey, et. al.2007)。一方スナメリについては武漢から南京までの広い範囲でいくつかの密度が濃いホットスポットが同定された(Zhao, et. al.submitted)。なかでも江西省湖口市付近の揚子江本流(八里江口地域)およびその上流側のポーヤン湖に非常に密度の高い水域が存在することを確認した。
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