研究課題
基盤研究(B)
本研究では、ヨウスコウカワイルカが生息している可能性のある三峡ダム下流の宜昌市から上海市までの流域1500kmを、動物の発する声をたよりに曳航式水中マイクロホンにより探査し、本種を発見・捕獲して、絶滅の危機から救うことを目的とする。さらに、生息密度の高いホットスポットにおいては、定点型観測機器を用いて数ヶ月に渡る重点的な調査を行い、ヨウスコウカワイルカの回遊行動や摂餌努力量を明らかにすることで、生息場所の利用状況を高い時空間精度で把握する。ヨウスコウカワイルカは水の中で周辺を探索できる生物ソナー音と、通信用のホイッスルと呼ばれる比較的低い周波数の声を有している。濁った揚子江では、目視調査による動物の発見には限界がある。そこで本研究では、曳航式と定点型の水中マイクロホンシステムを駆使し、声を受信することで広大な揚子江に生息するヨウスコウカワイルカを探知する。同じく揚子江に生息する貴重な淡水イルカであるスナメリも、同じ手法で全流域の観測を行う。最新の水中音響技術を淡水イルカに適用することで、マクロスケールでの揚子江全域分布地図とミクロスケールでの詳細な水中行動が明らかになる。危急種の基礎的な行動生態情報から保全を推進する捕獲作業支援への応用まで、幅広い知見を得ることができる。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)
J.Exp.Biol. 213
ページ: 146-152
J.Acoust.Soc.Am. 125
ページ: 547-553