研究課題
アジアツムギアリ、アシナガキアリ、ツヤオオズアリなど広域分布種の標本集めを継続し、特に前二種についてDNA分析を進めるとともに、比較対象としてアフリカツムギアリの分析も行った。また、沖縄における外来侵入アリ類の生態調査を継続した。主な結果は以下の通りである。1)アジアツムギアリの東南アジア・オーストラリア系統とインド・スリランカ系統の境界域について検討した結果、バングラディッシュ個体群とダッカ個体群では東南アジア・オーストラリア系統、ブータン・ネパール個体群、アッサム・ダージリン北部個体群ではインド・スリランカ系統のハプロタイプが検出され、その境界を流れる河川群が両系統を分断している可能性が示唆された。2)アジアツムギアリ分布域の東端に位置するパプアニューギニアの海岸域個体群はオーストラリア個体群に近いが、中央部の個体群の中には独立したグループを形成するハプロタイプも検出された。3)アフリカツムギアリの標本を10カ国15個体群から集めることができた。現在mtDNAとマイクロサテライトDNAの分析を進めているが、アジアツムギアリで東南アジア・オーストラリア系統とインド・スリランカ系統に見られたような同種内の大きな違いが複数検出される可能性がある。4)アシナガキアリについては、平成21年度の解析でインドの1個体群が祖先系統であることが示唆されたが、新しい標本を加えて解析したところ、その結果を再現できていない。しかし、インドの個体群では変異が多く、祖先系統が見つかる可能性は残されていると思われる。平成22年8月にデンマークで開催された国際社会性昆虫学会において、アジアツムギアリに関する研究成果を発表した。
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