研究概要 |
ネズミ類(ネズミ亜科およびキヌゲネズミ亜科:鈴木)、イタチ類(佐藤)、ウサギ類(鈴木)、ヤマネ類(鈴木)、そしてモグラ類(鈴木)において、複数の核遺伝子をマーカーとして用い、系統関係を明らかにした。その結果、これら4グループは、系統分化の時期が第三紀後期の環境変動の節目と連動していることが明らかとなった(Suzuki 2009)。環境適応に伴い、適応関連遺伝子に断続的進化の傾向が認められるか否かを毛色関係遺伝子Mclrにおいて行った結果、ネズミ類において特定祖先系統でアミノ酸進化速度が加速されていることが示された。さらに、ネズミ類とテン類でアミノ酸置換速度に大きな違いがあり、生態的地位が大きく影響する可能性が示された(Shimada et al., 2009)。日本産モグラ類4種において分子系統学的に日本産哺乳類の大陸種との分岐時間について推定した。さらに、第三紀後期および第四紀の朝鮮海峡の海水準変動パターンとの照合を行い、大陸からの渡来時期の推定を行った。その結果、より信頼性の高い推定渡来時期の推定を行うことができた。レッサーパンダを含むイタチ科の分子系統学的解析を行った(Sato et al., 2009)。第四紀の断続的な環境変動に伴い、地域集団が断続的に融合と分断を繰り返してきたと思われるが、その二次的接触の状況を把握する手法の開発が望まれていたが、今回、特定の染色体領域200Kbにおいて組み換え体ハプロタイプの解析により、二次的接触を検出する手法を開発し報告した(Nunome et al., in press)。
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