研究課題/領域番号 |
19405011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 晃 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30111165)
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研究分担者 |
酒井 治己 独立行政法人水産大学校, 生物生産学科, 教授 (80399659)
井口 恵一朗 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 主任研究員 (00371865)
渡辺 勝敏 京都大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00324955)
山崎 裕治 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (30332654)
高橋 洋 独立行政法人水産大学校, 生物生産学科, 助教 (90399650)
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キーワード | 東ユーラシア / 淡水魚類 / 種多様性起源 / 系統地理パタン / 多層的アプローチ / 種分化 / 生活史進化 / 魚類相形成史 |
研究概要 |
前2年間における海外調査で採集された魚類サンプルと本年に国内で得られたサンプルを用いて、各種ごとに集団構造解析と系統地理解析を行い、以下の貴重な研究成果を得た。 1)ヤツメウナギ類の種多様性起源を明らかにする一環として、カワヤツメの回遊型と河川型の共存河川および単独生息河川から採集した幼生サンプルを用いてマイクロサテライト解析を行った。その結果、共存河川では両生活型集団間に十分な遺伝子流動が認められた。一方、河川型単独集団はダムによって下流側の回遊型集団との遺伝子流動が妨げられ、遺伝的分岐を蓄積していることが示された。そのため、河川型単独集団はカワヤツメ種群における異所的種分化の創始集団に相当すると考えられる。 2)ウラル山脈の東部側のシベリアに分布するカジカ属Cottus sibiricusの系統地理学的解析を行った結果、エニセイ・レナ川系統とオビ川系統に2分された。しかし、欧州に分布し、本種に近縁なC.gobioの既往データを加えて解析すると、両種は相互単系統にならず、またエニセイ・レナ系統はC.gobioの北欧・欧州系統と高い類縁性を有したことから、従来の分類とは異なりC.gobio-sibiricus種群として取り扱うのが妥当であると考えられる。 3)本研究最終年にあたる本年度には、分担研究者および外国人研究協力者3名(ロシア1名、中国2名)の参加で、シンポジウムとワークショップを11月19-20日に北海道大学大学院水産科学研究院において開催した。シンポジウムでは11題の研究発表がなされ、質疑討論が活発に行われた。また、ワークショップでは4題のポスター発表に基づいて、本研究成果の総括と到達点を確認するとともに、将来の研究計画に関する意見交換を行った。
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