研究課題/領域番号 |
19405012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00193524)
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研究分担者 |
坂山 俊英 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (60391108)
紙谷 聡志 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80274520)
藤井 伸二 人間環境大学, 人間環境学部, 准教授 (40228945)
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キーワード | 生物間相互作用 / ゴンドワナ / ナンキョクブナ / 進化 |
研究概要 |
ナンキョクブナ属植物は、その分布パターンからゴンドワナ大陸に起源した植物群-すなわちゴンドワナ植物と考えられてきた。その理由として、南極大陸を含むゴンドワナ大陸から分離した多くの陸塊から化石が見つかっていることや、種子が大型で耐塩性を持だないため、海を越えての分散が期待できないことが挙げられる。しかし、分子系統学的解析を含むこれまでの研究結果からは、ナンキョクブナ属の現生種は決して遺存的なものではなく、ゴンドワナ大陸が成立していた年代よりも後に生じたことが明らかになっている。また、その種分化パターンに関しても、それぞれの大陸・地域の種群で単系統にならず、大陸・地域間での移動が複数回起こったことが明らかになっている。 本研究では、南半球に隔離分布するナンキョクブナ属植物をめぐる複数の共存系を対象に多様な生物が織り成す共存系の進化史解明を目指している。 本年度はオセアニア地域での調査・研究を行った。ニュージーランド産とオーストラリア(タスマニア)でのナンキョクブナ属植物の新芽を食べる昆虫相を比較したところ、以下のことが明らかになった。1)甲虫目昆虫は、ニュージーランドでは小型ゾウムシ類が多数を占めるのに対し、オーストラリアではゾウムシ類は少なく、ハムシ類が多いこと、また、ニュージーランドではナンキョクブナの種に対し、ゾウムシの特異性が高い。2)チョウ目昆虫では、ニュージーランドとオーストラリアで近縁なナンキョクブナ属植物では、同属の蛾類が利用している。 採取した昆虫のCOI遺伝子の配列決定を行ったので、現在、正確な種同定と塩基配列に基づいた系統樹を作成中である。
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