研究課題/領域番号 |
19405014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60158623)
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研究分担者 |
三谷 雅純 兵庫県大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20202343)
田中 俊明 梅光学院大学, 子ども学部, 准教授 (00412370)
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キーワード | 道具使用行動 / キンシコウ / 社会行動 / 種間雑種 / スマトラ産哺乳類 / 保全 / 旧世界ザル / 文化行動 |
研究概要 |
本研究課題は4つ内容からなる。1)旧世界サルの人の髪の毛を用いた歯磨き行動等、道具使用を含んだ文化行動の研究では、タイ国ロブリ市のカニクイザル群でこの群れの個体識別を進めながら観察を行い、行動の群れ内での局在性を明らかにした。またこの5年の問でも、群れや個体による違いだけではなく、時間的な経過にともなって行動の頻度も変化してきていることが確かめられた。その他にも、インドネシア国ロンボク島リンジャニ山の高地に住むカニクイザルの温泉浴行動に関するまとめを行った。2)中国秦嶺山系に住むキンシコウの観察では、8年間におよぶ観察結果から雌雄の単位集団間移籍や、単位集団間の順位関係とそれに及ぼす雌の行動の影響などが明らかになった。キンシコウは出産季は春先に限られるが、交尾は年中見られる。その交尾パターンが時期により異なることが明らかになった。3)スマトラ産哺乳類の分布変遷に関する研究では、中部スマトラの西スマトラ州、ジャンビ州、リアウ州のデータ分析を進めると共に、東南部のベンクル州にも対象を拡大して調査を行った。またパンガンダラン保護区のシルバールトン、カニクイザルについて、これまでの36年間にわたる個体群動態のまとめを行った。4)スラウェシマカク雑種個体群の個体群動態に関する継続観察は9年を経過し、オトナの雌が非常に早く消失していることが、より明確になってきている。このことから2種の交雑帯では雑種崩壊と呼ばれる現象が起こっており、2種が交雑し子孫を残しながらも、なおそれぞれの形態差を維持しているものと考えられる。
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