研究課題
これまでの研究により、チンパンジーが1回の出産のために数百回から千回以上の交尾を行うことがわかっている。なぜこれほどまで多くの回数の交尾を行うかという理由としては、これまで様々な仮説が提唱されてきているが、未だ解決はみていない。本研究では、メスのチンパンジーの性行動、遊動・採食行動、生まれた子どもの生存率を調べて、1)1回の出産のために要する月経サイクル数と交尾の回数、2)早期流産の頻度と妊娠しにくさの関係、3)交尾行動や生涯産子数にかかわるコスト、4)不妊期間中の多数回交尾によってもたらされるベネフィットについて明らかにするものである。平成21年度においては、前年度に引き続き4月から現地調査員による調査を開始した。メスの性的状態をモニターするために、発情の指標となる性皮の状態をチェックし、尿を採取しヒト用の妊娠検査キットで妊娠の有無を確認した。ただし、雨季など雨が多い時期には、尿の採取が困難であることがわかったので、今後分析を行うために、糞試料の収集を始めた。また、GPSを用いて遊動を記録し、1 hour party法によって一緒にいる個体を記録した。さらに、メスが発情をした場合には、調査対象メスの行った交尾すべてについて、時間と相手個体名、交尾に先立つ誘いかけや接近などの行動、交尾後の毛づくろい、どちらが先に立ち去ったかなどについて記録した。平成21年12月には,橋本が現地に行き、調査を行うとともに、日本人研究者が不在の間に現地調査員がとったデータを確認し、彼らの調査方法についてもチェックした。データはすべて持ち帰り、古市が分析を行った。
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American Journal of Primatology (印刷中)
森棲みの生態誌 : アフリカ熱帯林の人・自然・歴史, (木村大治, 北西功二編)(京都大学出版会)
Primates 50
ページ: 197-209
Pan Africa News 16
ページ: 1-4