研究課題/領域番号 |
19405016
|
研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (30131923)
|
研究分担者 |
加藤 克知 長崎大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70018703)
北川 賀一 長崎大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70186237)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
|
キーワード | アンデス古代文明 / ミトコンドリアDNA分析 / 形態学的研究 / 安定同位体分析 / インカ / シカン |
研究概要 |
昨年実施したペルー南部チリバヤ地域での集団の遺伝的な特徴が時代と共に変化していくことを古代DNA分析の手法を用いて明らかにした。これによってペルー南部海岸地域での集団の時代変化の実態が明らかとなった。 昨年クスコで収集した人骨のDNA分析や年代測定、食性の分析を進めた。 その結果、クスコ周辺にあるワタ遺跡の形成期の人骨群は、インカ期の人々と遺伝的な特徴が異なっていることが明らかとなった。また食性分析の結果も彼らがトウモロコシには頼らない、独特な食生活をしていたことが明らかとなった。 また、2007年12月にトルヒーヨの月の神殿遺跡で採取したモチェ時代のサンプルのDNA分析を行った。 2008年12月には、海外調査を実施し、ペルー北海岸のロロ神殿遺跡から出土したシカン中期の人骨のサンプルを採取した。DNA分析を行って、これまでに収集したデータと合わせて発表の予定である。 すでにサンプルを採取していたリマ近郊の大規模な神殿遺跡であるパチャカマックから出土した人骨および植物繊維に対してC14法による年代測定を行い、数十体の人体が埋葬されているこの遺跡の形成機序について考察を進めた。また同時に食性分析を行って、海岸地域に立地した遺跡であるにも拘わらず、ここに埋葬された人々がそれほど海産物に頼らない生活をしていたことを明らかにした。 2009年3月には、クスコと北海岸でのサンプリング調査を行った。 クスコでは、2006値に項に発掘されたマチュピチュ遺跡周辺の遺跡から出土した人骨のDNA分析と食性分析用のサンプルを合計で200点程度集めることができた。来年度以降、このサンプルを分析してインカの集団の特性について明らかにする予定である。 このように、本年はこれまで収集したサンプルの分析を進めると共に、更に時間的・空間的に分析対象の幅を広げてサンプリングを行い、アンデス地域の集団の生物学的な特徴について統一的に理解する準備を整えた。
|