研究概要 |
・課題1:画像解析法によるミシシッピ氾濫原に生じた生態的被害と後遺症の広域調査 2005年8月にアメリカ合衆国南部に甚大な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナを研究事例として、衛星画像と航空機LiDARデータ・航空写真を用いて,広範囲に広がる森林の被害状況と回復過程を効率的に把握することを目的として解析を行った。この結果,ハリケーン被災直前と直後のNDVIの差分を取ることで風倒や先折れによると予想される直接被害地域を推定することができた。また、被災直後3時期の衛尾画像から植物活性度を表すNDVIと地表面の水分量を表すLSWIを用いることで,塩水が長時間鱗帯し植生に影響を与えたと予想される間接被害地域を推定することができた。さらに,森林範囲で切り取った画像で被災後2年間のNDVIの増加量を求めることで草本による急速な回復地域を推定することが出来た。これらの解析手法を用いることで効率的に森林被害地域と再生状況を把握できた。この結果は,2009年3月の第120回日本森林学会大会(京都大学)で発表した。 ・課題3:ヌマスギ生残木樹幹に残る過去のハリケーン来製の影響の年輪年代学的解析 被災地に100mx50mの生態調査プロットから採取したヌマスギおよびヌマミズキ各30本、計60本のコアサンプルを解析した。この結果、ハリケーン後の急激な成長減退を認めた。 ・課題4:高塩濃度冠水がヌマスギ林の更新と幼稚樹の生育に及ぼす影響の実験的解析 ヌマスギの冠水耐性と耐塩性を調浸るため、在来種のヌマスギ、侵入種のナンキンハゼ、センダン若木を用いて生理的なモデル実験を行い、光合成や蒸散、植物体内のイオン分析などを行った。この結果、ナンキンハゼは耐水性、耐塩性とも、ヌマスギに拮抗することがわかった。これらの成果は2009年3月、第56回日本生態学会大会(岩手県立大学)、および第120回日本森林学会大会(京都大学)で発表した。また成果の一部はLandscape and Ecological Englneering誌、New Forests誌に印刷中である。
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