研究課題
本研究は、ブラジル熱帯材を対象として、具体的かつ有効な「品質証明」手法を提示することを目的として計画されたものである。バイオマスが再生可能な資源であるためには、その原産地の持続可能性が担保されていなければならない。とりわけ、脆弱な生態系である熱帯林ではなおさらのことである。そのためには、単なる伐採禁止を求めるのではなく、「森林を持続可能な方法でマネジメントをし、そこから産出される木材を中心とするバイオマス資源の品質証明をして、消費者に確実に木材製品の価値を伝えて売買する」=「熱帯林の戦略的な持続経営をする」ことが、ブラジル森林地帯の地域社会としての安定性を保つうえでも重要である。本年度は、パラナ州、サンパウロ州に植林されているアロウカリアを対象として、分光学的手法による非破壊材質評価の可能性について検討した。肥大成長速度と密度に関しては、実測値と可視-近赤外反射スペクトルから計算された予測値の間に比較的高い相関が認められたが、縦方向表面解放ひずみと応力波伝搬速度については、予測が困難であった。一方、応力波伝搬速度を胸高直径で補正したところ予測精度が向上した。このことから、アロウカリアの応力波伝搬速度は、密度や含水率の変動よりも直径の影響を強く受けているのではないかと推定された。今回調査した物性値は木材の材質を支配する重要な指標であり、これらを可視-近赤外スペクトル測定で代替できれば、簡便なフィールド測定において木材の物理化学的特性を推定することが可能になる。
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Forest Ecology and Management, Vol. 257, 2175-2181 (2009) 257
ページ: 2175-2181
Canadian Journal of Forest Research, Vol. 39, 1971-1978 (2009) 39
ページ: 1971-1978