研究課題/領域番号 |
19405032
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小河 久朗 北里大学, 水産学部, 教授 (20005656)
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研究分担者 |
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 准教授 (80208636)
黒倉 寿 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
佐野 光彦 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (50178810)
馬場 治 東京海洋大学, 水産学部, 教授 (40189725)
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キーワード | 海洋資源 / 海洋生態 / 生態系修復・整備 / 津波 / 国際協力 |
研究概要 |
平成19年11月にトラン県シカオ郡沖の藻場とリボン島、ムック島周辺の海草群落調査を行なった。またシカオ郡沖の藻場に付いては魚類について予備調査を行なった。その結果、津波被害を受けた所での海草の生育は回復がみられたものの、海藻類の生育量、種類数は少なく回復が遅れていることがわかった。魚類相についてみると津波被害を受けた所と送でない所とでは有意差を示す傾向がうかがわれた。一方、トラン県とパンガー県の複数の漁村で津波前後の漁業(漁場、魚種、漁獲量等)の変化の有無について聞き取り調査をしたところ、津波の影響が大きかった所ほど資源回復が遅れていることがわかった。平成19年12月のパンガー県全域とプーケット県の一部について11月と同様の調査を行なったところ、イカ資源の回復は海草群落の回復と相関がみられること、漁場についても同様の関係が見られることがわかった。平成20年1月と2月にトラン県シカオ郡沖の藻場の魚類相調査とリボン島周辺の海藻と海草の生育調査を行なったところ、岩礁帯での海藻の生育回復は限定的であるに対して海草の回復は比較的早いこと、それに応じて魚類相にも相違のあることがわかった。これらのことから、津波による沿岸域の海藻と海草の生育回復には相違があり、特に海藻の生育回復は遅れていることが明らかとなった。これに対応した漁業への影響と変化が顕著に見られたことは、沿岸域の水産資源の回復には藻場の回復が重要であることを示唆しており、とくにイカ資源と漁獲量・漁場との間にその関係が顕著だった。3月には19年11月の調査で出来なかった漁村と沖合の幾つかの島について、津波前後の漁業(漁場、魚種、漁獲量等)の変化の有無について聞き取り調査と、海藻・海草類の生育調査を合わせて実施する予定である。
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