(1)地域資源を活用した農村活性化事例の他地域への適用可能性 中部ジャワ州スラゲン県で平成20年度に実施したケーススタディ結果を利用し、同県における農村活性化の経験を、他地域に適用する可能性を検討した。スラゲン県と同じソロ川流域に位置するウォノギリ県の農業政策担当者と面談を行い、スラゲン県の事例を紹介した。また、プロジェクトワークショップにおいて、スラゲン県で成功した有機米栽培を通じた地域振興のウォノギリ県への適用可能性について意見交換を行った。 (2)地方分権を活用した農村活性化方策の提言 3年間の研究成果を共同研究者とともにとりまとめ、中部ジャワ州スラゲン県でワークショップを開催し、同県の農業政策立案者、農業者、農産物流通業者等と意見交換を行い、地方分権を活用した農業振興政策を実施するにあたり考慮すべき以下の事項を提案した。 ・地方税収を増やそうとする地方政府の努力は、農業関係予算中の独自財源による比率を高めるなど、財政の健全化に貢献しているが、地方税の乱立が、農業に対する投資を阻害しないよう留意する。 ・地方独自の自然、社会条件を十分理解し、隠れている地方の持つ強みを発掘しそれを生かす農業振興策を実施する。 ・一部の県では農業予算が減少していることを鑑み、農業予算の効率的な活用に努める。予算の制約がある場合、展示圃場の設置など、モデル地区を設定して重点的な予算投入を行い、周辺への波及効果を狙う。 ・地方分権の流れにあっても、中央政府と地方政府の連携を強め、双方が実施する政策が相乗効果を生むように努める。 また、研究報告書をインドネシア語で作成し、関係者に配布した。
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