研究分担者 |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
山本 忠男 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00312398)
長谷川 周一 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (10333634)
神谷 光彦 北海道工業大学, 工学部, 教授 (60001997)
中村 和正 北海道工業大学, (独)土木研究所・寒地土木研究所, 上席研究員 (30414220)
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研究概要 |
本研究では,対象とする半乾燥地域の持続的農業のために,適正な水土利用と管理に関する提言をおこなうことを目的としている。そのために,データの蓄積をおこなう必要があり,これまでの調査を継続する方向で,地下水や土壌水分などの連続観測,ならびに土壌分析などの現地調査を実施した。 土壌塩類の調査から,排水路付近で塩類集積が発生していることが確認された。そして,塩類集積の被害が大きい圃場では,地下水位,土壌水分が高く推移する傾向も確認された。このことから,高い地下水位と蒸発散による地下水の上方移動によって塩類集積が進行すると推察された。しかしながら,夏期は塩類集秘が問題となる地下水位ではなかった。そこで,本地区の塩類集積の発生は,地下水位以外に要因があると推定した。 潅漑前後の土壌塩類の鉛直分布を測定した結果,潅漑によるリーチング効果があったものの、2〜3m深の土層に含まれる塩類は,排水路に近接する圃場に側方移動する可能性が示唆された。また,土壌調査の結果から,40cm深までの粘土含有率が塩類集積に影響すると考えられた。すなわち,粘質土を多く含む地点では浸透速度が遅く,一方で蒸発散にともなう毛管現象による上方への移動が下降浸透を上回るため塩類集積が生じると推察される。このことを踏まえると,夏季には土性に起因する土中水の移動が,また冬〜春季の土壌凍結・融解峙にはこれに加えて地下水位と土壌水分の状態が塩類集積に影響を及ぼしているものと推測した。この融解時の塩類移動について検証するため,3〜4月に現地調査を実施した。その結果,土壌凍結による塩類の供給と融解による表層への塩類集積の加速が推察された。
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