研究概要 |
東南アジアではモンスーンによる毎年の洪水に悩まされている地域が多い.特にバングラデシュでは,雨期に80%の降雨が集中し,さらにこの時期にヒマラヤ山脈南方斜面からの融雪を伴う大量の雨水が大規模に流下することで,集水域内での洪水,土の流亡など深刻で危険な状態をしばしば引起こし,毎年のように耕作期の農地のほぼ20%から40%が毎年甚大な被害を受けている.この洪水被害から人命,農作物を守るために,堤防の建設が進められている.しかし,現地での施設は十分精査した設計・施工に基づいたものが少なく管理も十分ではないため,毎年部分的な破損や,場合によっては完全な崩壊が数多く発生している. 本研究では,バングラデシュにおいて下記の事項の検討を行う. i)破壊した堤防,フィルダムの土質力学性状,土壌特性を調べる. ii)堤防の破壊に対する社会的経済的側面の情報収集 iii)河川流域の水理学的パラメータ,および地域の流出特性を調べる. iv)現地調査,並びに浸透,流出,安定解析により破壊原因を究明してその対策法を提案する. v)生態系及び環境保全を考慮に入れた,破壊を抑止できる経済的でかつ現地で使えるリサイクル材料を用いた補強工法の検討を行う vi)斜面における土壌浸食のメカニズムを解明して,環境を考慮した盛土の保全方法を確立する.
|