研究概要 |
本研究は,ミャンマーの灌漑地区をケースとして乾期水稲作における適正な農民参加型末端水利施設の整備及び水管理手法を摘出することを目的としている。 本研究の最終年度にあたる当該年度は、まず現地において研究代表者および分担者が研究協力者である灌漑技術センターと共同で、前乾期に得られたデータ細部の確認およびデータ分析手法についての検討を行った。そして,全研究期間中に得られたデータを基にした分析がある程度終了した時点で再度現地に赴き,現地研究協力者と分析結果の確認を行うとともに,本研究結果に対しての妥当性,合理性などについてのフィードバックを得た。 現地で得られたデータ・情報は,主に乾期水稲作についての水文・水利特性(流量観測、気象情報、末端圃場までの取水経路など),農家経済・営農状況(農家のベースライン情報、土地利用、米育成状況、米収量、投資と収益、灌漑期間の水管理状況、灌漑期間の水利組織活動状況など),ならびに水利組織運営状況(組織ルール、組織運営方法、水路の維持管理方法、運営上の課題など)についてである。 これらの分析により、対象灌漑地域の:1)水稲を中心とした作物の生産性・営農状況の把握、2)米生産量と水文要因との関連性の摘出、3)水利用効率の定量化、ならびに4)水利組織の運営状況の把握,を行なった。さらに,この結果を基に:1)対象地区の末端水路整備・管理の評価と課題の摘出、2)水管理方法および水文要因が農業生産性に及ぼす影響の定量的、ならびに3)ミャンマー灌漑農業における効率的な灌漑水利用を実現するための地域に適合した技術および農民参加型による水管理を行う方策の検討を試みた。
|