前年のカザフスタンに引き続き、モンゴル国の中部〜西部で調査を実施した.モンゴル中西部はカザフスタンからはアルタイ・天山両山脈を隔てた東側に当たり、これまでの研究の空白地帯である. 植生班の中村は研究協力者とともに、植物社会学的に植生調査を行い、さまざまなタイプのステップ植生の種組成を明らかにするとともに、放牧強度や耕作履歴などについて聞き取り調査を行った.また、土壌硬度や土壌水分などの自然環境を測定し、群落の成立と環境条件との関連について解析した.多くの地点で同様の調査を行い、種組成に基づいた群落の識別とその群落の環境条件との対応について明らかにした. 生態班は中村と連携を取りつつ、川田が中心となってワク法を用い、1×1mのコドラート内に生育するすべての植物種の名前と高さ、被度を測定し、さらに規則的に配置した10コのコドラートにおける出現頻度をカウントした.また、このうち一つのコドラート内に生育するすべての植物の地上部を刈り取り、現存量を測定した.このような調査地8個所で調査した. 土壌班は中村と連携しつつ田村が中心となって植生調査地点で土壌断面を作り断面記載をした後、層位ごとに土壌サンプルを取り、これを理科学生分析に供した.これらにより土壌の生成と植生との関連について考察した. 以上をとりまとめ平成21年2月に公開発表会を開催した.
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