研究概要 |
本研究では,サブサハラにおける「低投入環境保全型」農業モデルを提唱するための基礎的なデータ収集をウガンダにおいて行うことを初年度の目標とした。予備調査として,大雨季に1名が現地を訪問し,作物利用の実態を把握すると同時に,研究協力者と,東部・南部・西部の各農業実態を調査した。その結果から,調査地候補を東部に絞り,小雨季に4名が現地を訪問して,具体的な調査地の選定,調査対象の絞込みを行った。ウガンダにおける主食作物はバナナ,サツマイモ,トウモロコシ,キャッサバ,コメであり,最も一般的な主食はバナナを蒸した「マトケ」である。近年になり,コメの需要が高まってきており,主食としての利用が多くなってきている。また,多様なマメの利用が見られた。野菜の利用は余り多いとは言えず,トマト,トウガラシ,キャベツ,ササゲと菜類が主要な野菜であったが,食べる量・頻度もアジアに比べて低い様であった。ウガンダは国土が高地にあり,水資源が豊富であるため,気候的に見ても農業生産のポテンシャルがかなり高い。また,土壌肥沃度がかなり高く,多くの農家では無施肥で作物栽培を行っていた。農業体系は,プランテーション,畑作,水田に大別され,コメの需要拡大に伴って水田開発が進んできている。これらから考えて,ウガンダには陸稲ネリカより水稲ネリカを導入した方が適していると考えられた。このことから,水田開発に伴う問題点を検討した。ウガンダは広大な湿地があり,そこの主要植生であるパピルスが保護されているため,湿地の開発許可を得ることは難しい。しかし,パピルス地帯を水田にした場合の環境負荷の実態は明らかになっていない。そこで,来年度の目標を,水田開発を行った場合の環境負荷の推定と低減,環境浄化型野菜の検討とすることにした。併せて,陸稲としてのネリカ米の作付可能性について,他の主要畑作物を含む作付体系において検討する。
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