研究課題/領域番号 |
19405046
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菊池 眞夫 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (10241944)
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研究分担者 |
高垣 美智子 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (00206715)
倉内 伸幸 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00256835)
南雲 不二男 国際農林水産業研究センター熱帯, 島嶼研究拠点, 研究員 (20399372)
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キーワード | 環境浄化 / 緑の革命 / ネリカ / ウガンダ / パピルス / 湿地利用 / 水稲 / 陸稲 |
研究概要 |
サブサハラにおける「低投入環境保全型」農業モデルを提唱するために、本年度は昨年度に引き続き実施した(a)ウガンダ農家のネリカ栽培を含む営農実態調査、作付体系調査、(b)ウガンダ中央農事試験場における)斜面圃場でのネリカ、メイズ、シコクビエの栽培試験、(c)サブサハラにおける大小規模灌漑開発プロジェクト資料収集より得られた基礎的なデータを用い、(A)農家のネリカ採用要因の分析、(B)斜面圃場における最適作付体系のシミュレーション分析、(C)サブサハラにおける灌漑プロジェクトの費用便益分析を行った。これらの分析の結果、農家によるネリカ採用を規定している要因は旱魃の危険性、農民組織への参加の有無、精米所へのアクセスであり、さらに耐旱性の強い陸稲品種の育成、農民組織の育成、市場へのアクセスの改善がネリカの普及を促進することが明ちかとなった。また、ネリカは老齢、寡婦、低教育水準の農家により採用される傾向があり、農村の弱者の所得向上に貢献することが検証された。また、最適作付体系は、地下水位からの標高5m未満の斜面下部ではネリカの作付率が90%超、5m以上の斜面上部ではネリカ20%、メイズとシコクビエそれぞれ40%となり、ウガンダにおけるネリカ栽培のポテンシャルが極めて大きいこと、ネリカの普及に当たって斜面上での適地栽培を指導することの重要性が明らかにされた。さらに、灌漑開発に当たって小規模プロジェクトの優越性が検証され、水稲作普及のポテンシャルも高いことが示された。パピルス湿地の開田も十分な経済性を持つことも明らかにされた。収量は陸稲で3t/ha、水稲で5t/haが、殆ど無施肥で達成可能であることから、これまでの本プロジェクトにおける研究成果と併せ、陸稲、水稲の普及により、環境に負荷を与えることなく、サブサハラにおける「緑の革命」の達成が可能であることが明らかとなった。
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