研究概要 |
資料収集:平成21年度には,台湾彰化基督教医院、台中栄民総医院に赴き,病理診断について意見を交換した上,中皮腫の組織標本について供与を受けることとなった.平成22年度は早い段階で韓国ソウル大学に協力を要請する予定である. SV40の検出:Manfrediらの方法に準拠し(Cancer Res 65:2005), Primer PQ(5027-4911), Primer SV(4476-4372), PrimerN'K'(3106-2966)の三断片の増幅でSV40の有無を検討した.悪性中皮腫については,日本(東大,自治,愛知がんセンター)36例,韓国4例,中皮腫細胞株7株のいずれにもSV40の断片は確認されなかった.一方,髄膜腫については,日本(東大)162例中0例,韓国33例中1例から検出された. 免疫組織化学的にT抗原の発現を検討したが,PCR陽性髄膜腫においても陰性であった. DNAメチル化との関係:Toyookaらの報告(Oncogene 21:4340,2002)によれば,SV40の感染を認める中皮腫細胞株では癌関連遺伝子のプロモター領域にメチル化が高率に生じている.NCI-H28,NCI-H2052においてRASSF1Aのメチル化を検討したところ,彼らの報告と同様,メチル化が確認できたが,SV40の感染は確認できなかった. メルケル細胞腫ポリオーマウイルスとの関係:新たなポリオーマウイルス,メルケル細胞癌ポリオーマウイルスは皮膚のメルケル細胞癌に高率に検出され,腫瘍化に関わっている可能性が示唆されている(Feng et al.Science 319 : 1096, 2008).その存在についても検討するため,PCRによる検出条件を設定した. 連携研究者:太田聡講師,後藤明輝助教(人体病理学分野)
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