19年度繰越予算のもとで行なった調査に加え、20年度予算により下記の2つの実験と調査を行なった。 1)平成19年度に開発した測定法を用いたケニア・クワレ地区に生息する淡水産貝の分泌物のビルハルツ住血吸虫ミラシジウム誘引力測定。Bulinus globosus(中間宿主貝)、Cleopatra africanus、C brimoides、Blamya、他5種の貝の分泌物のミラシジウム誘引力を測定した。B.globosusは強力なミラシジウム誘引力を示した。Blamyaと主未同定貝一種の分泌物もB.globosusと同程度の誘引力を示し、この2種の貝は囮貝としての役割が期待された。C.africanusの分泌物は上記3種貝ほど協力ではないが、ミラシジウムを誘引した。C.brimoidesと他4種貝の分泌物にはミラシジウム誘引力はなかった。 2)C.africanusの囮貝としての効果 前回の実験でC.africanusはB.globosusの共棲下でミラシジウムの感染阻止効果は得られなかったが、1)の実験でC.africanusもミラシジウム誘引力が観察されたので、再度実験を行なった。水槽内のB.globosusとC.africanus個体数の比を前回同様、1:0、1:1、1:2.5、1:5とし、放流するミラシジウムの数を減少した実験を行なったが、どのグループのB.globosusの感染率は30〜40%であった。 C.africanusの分泌物はミラシジウムの誘引力を有すが、B.globosusの感染阻止作用はなさそうである。
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