研究課題
本研究は、途上国で乳幼児の高い死亡原因となっている下痢症の実態の解明とともに高いHIV/AIDS陽性率を示す地域における下痢症の意義を探るのが目的である。1)2009年から引き続きコレラは流行し、北部国境からモンバサにまで拡がり、ほぼケニア全土に拡大した。我々はケニア保健省から制圧にむけた技術的支援の要請を受け、現地に赴き、検体採取、原因菌の同定および薬剤感受性を含めた性状検査などの結果を報告した。これまでに150株に上るO1コレラ菌を分離し、生物型はクラシック、エルトールのハイブリッド型、テトラサイクリンに対してはほとんどが感受性であり、耐性の株の遺伝子はアジア株と同様であった。モンバサからの分離菌はさらに流行の背景等についても分析を行なっている。2)ナイロビ近郊のキアンブ地域では5歳以下の小児を対象にしてロタウイルスの分離およびジェノタイプの病原大腸菌に対してはマルチプレックスPCRシステムの導入し、検出を行なっている。同時に、カンピロバクター、エロモナス、プレジオモナスシゲロイデスなどの下痢起因菌についても調査を進め、健康者の糞便の採取も同時に行い、その病原的意義について分析している。
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