研究概要 |
狂犬病ワクチン接種による過免疫ボランティアのリンパ球から,EBウイルストランスフォーメーション法により中和活性を有する抗狂犬病ヒト型単クローン抗体(MAb)を樹立することに成功し,その性状解析を行った。EBVトランスフォーマントの上清1,824wellをウイルス中和試験(RFFIT法)により狂犬病ウイルスCVS株に対する中和活性でスクリーニングし,最終的に2種類のヒト型MAb(No.254とNo.4D4)を確立することができた。その後,抗体産生免疫グロブリン遺伝子をCHO細胞に導入し,抗体産生能力を安定化させた。No.254はIgG3型の抗体でCVS株に対する中和能力は33.3IU/mgで,IgG1に変換したものでは25.05IU/mg(Kd値=3.7×10^<-7>M)であった。No.254は狂犬病ウイルス実験室株(cvs, ERA, HEP-Flury,西ヶ原株)を効果的に中和することができた。No.4D4はIgM型の抗体でCVS株に対する中和能力は125IU/mgであった。それぞれのMAbについて中和耐性変異株を作成し,塩基配列を決定したところ,No.254(IgG1型)の中和耐性変異株のGタンパク質は198番目のアミノ酸がLysからGluに変異しており,これはAntigenic site IIに位置していた。一方,No.4D4では242番目がAlaからValに変異していた(新規なエピトープ)。In vitroにおける中和試験(50%Focus Reduction : 50%FR)の結果,No.254の50%FRは0.32μg/ml.No.4D4では15.05ng/mlであった。さらに,No.254はマウスチャレンジ試験において,ERIGと同程度のマウス生存率を示した。今後は,さらに複数のMAbを樹立することを検討していきたい。
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