研究概要 |
【概要】医療における作業設計および環境整備の不備による事故,作業関連健康障害が多発している現状から,その防止に緊要なリスク評価手法と残存リスク低減策を確立していくための学術研究基盤整備,日本・タイの国際協力を通じて促進することを目的に本研究を行った。平成19年度までに針刺し事故による感染症,労働組織による医療従事者の疲労やストレス,移住介護医療労働者の健康,異文化コミュニケーションの重要性から,改善技術領域とモニタリングに必要な領域が整理されたことから,平成20年度は,1)地元医療労働環境に根ざした予防対策良好事例による対策優先決定手法の開発,及び2)持続的発展を目指した医療労働者教育手法の開発と実践を行い,プレコーショナルアプローチによる対策志向モニタリングシステムを開発し,その有効性の確認基盤構築を試みた。【結果】タイにおいては生物学的要因による健康障害リスクを中心に効果的な予防策を模索しており,病院機能評価の一部として組織的な医療事故防止の視点から医療従事者の労働安全衛生管理が重視されていることが分かった。これらの知見に根ざしたアクションチェックリスト、良好事例集などのツールを開発した。日本の病院調査の結果から,医療従事者のメンタルヘルス向上のために取り組まれた職場環境改善は,医療ミス防止,業務効率化,働きにくさ改善などの医療従事者の安全健康支援との同時改善であったことから、これらの技術領域が対策指向モニタリングのためのツール開発を行った。特に、医療機関における暴言・暴力対策、針刺し切創予防対策、メンタルヘルス対策の知見を整理し、職場環境改善および、医療事故防止のためのツール、およびフォローアップシステム・モニタリングシステムに関する成果を書籍として出版し、その一部をウエブ上などで公表した。
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