研究概要 |
タイのチェンマイ大学およびランパン病院で,疫学的介入研究を実施する準備を整えることができた。すなわち,本研究では抗酸化作用を持つ緑茶抽出物(Green Tea Extract:GTE)およびastaxanthine(AX)を無症候性HIV-1感染者に投与し,血中のHIV-1量や血中のCD4陽性T細胞数への影響の検討を予定している。平成19年度にチェンマイ大学医学部の倫理委員会に本プロジェクトを申請し,平成20年3月許可された。本プロジェクトでは,チェンマイ大学の24名のHIV-1感染者,ランパン病院の36名のHIV-1感染者,計60名(GTE投与群,AX投与群,プラセボ投与群各20名)について,薬剤投与前,投与一ケ月後,三ケ月後に採血し,HIV-1量,CD4陽性細胞数,その他生化学的酸化状態のマーカーを測定する予定である。それに伴い,必要量のGTE錠およびAXカプセルを購入し,チェンマイ大学およびランパン病院に運搬した。 バングラデシュのHIV-1陽性率は1%以下で,隣の国々に比べ極端にHIV-1陽性率が低い。首都ダッカのHIV-1感染のhigh-risk groupとされる薬物乱用者(IDU)やCommercial sex worker(CSW)でもHIV-1陽性率は5%以下である。一方タイ,ミャンマー,マレーシア,インドなどのIDUやCSWのHIV-1陽性率は70%-80%である。この理由のひとつとして,バングラデシュにHIV-1抵抗性のヒトが多い可能性が高いので,そのことを培養細胞系で調べる準備を進めている。バングラデシュより2名の研究者を平成20年2月に招聘し,共同研究の打合せ,研究技術の指導を行った。
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