研究課題/領域番号 |
19406019
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
星野 洪郎 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107434)
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研究分担者 |
清水 宣明 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70261831)
大上 厚志 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80260107)
田中 淳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20321953)
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キーワード | HIV / 抗酸化剤 / 緑茶抽出物 / アスタキサンチン / タイ / バングラディシユ / コーホート研究 |
研究概要 |
抗酸化剤として、緑茶抽出物(green tea extract:GTE)錠剤(狭山茶業研究所製)、アスタキサンチン(ヤマハライ7サイエンス事業)、およびGTEの抗酸化作用の主成分(一)-epigallocatechin gatlate(EGCG)について、ヒトへの投与と培養系での活性の検討を行った。 まず、EGCGについて、(1)TNFαによる細胞毒性への影響、および(2)MT-2細胞の培養上清の細胞毒性活性の産生への影響について検討した。TNFαは、ネコ腎臓由来の8C細胞に細胞毒性を示す。EGCG存在下で8C細胞を培養し、ヒト型レコンビナントTNFαを加えた所、その細胞毒性(MTT法で検討)を軽減した。また、MT-2細胞をEGCG存在下で培養し、その培養上清を8C細胞に加え培養し、細胞毒性を検討した。EGCGを添加するとMT-2細胞の上清の細胞毒性活性が弱められた。MT-2細胞の上清中の細胞毒性活性は、主にTNFaに由来すると考えられているので、EGCG存在下では、MT-2細胞からのTNFαの産生が抑制される可能性が示唆された。 抗酸化剤は、HIV-1のLTRに働き、そのNFκBサイトからのウイルスRNAの転写を抑制L.HIV-1感染者でのHIV-1の産生を抑制する可能性が考えられる。この可能性をタイのチェンマイ大学との共同研究で検討している。まず、本研究について群馬大学およびチェンマイ大学の倫理審査委員会に申請した。GTEは、お茶の成分であり、古くから飲用に用いられてきたこと、また、アスタキサンチンについても天然物は健康食品として既に用いられており大きな副作用は知られていない。このような状況から、GTE(6錠/日:1日に緑茶6杯相当)あるいはアスタキサンチンカプセル(16mg/日)の無症候性HIV-1感染者(asymptomatic carrier:AC)への投与は、健康上問題ないと判定され、倫理委員会の承認の承認得られた。両薬剤のどちらか、あるいはplaceboのカプセルを、チェンマイ大学に登録しているAC、あるいはチェンマイの隣のランパン県の国立Lampang病院に登録しているACのヒト計60名(各群20名ずつ)に投与し、投与前、1月後、2月後、3月後に採血し、プラズマ中のHIV-1量(viral load)、CD4細胞数、抗酸化状態の生化学的検査を行っている。現在までに、少数のデータが得られたが、なお例数を増やすように検討している。
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