研究概要 |
本研究の目的は、諸外国(米国とウクライナ共和国)を対象として肝炎ウイルス罹患率と肝がん死亡率を比較し、肝がん好発年齢と感染時期の時間交絡との関連性についてグローバルな視点から解明すること、いずれの国においても通用する肝がん対策の基礎資料を提供・構築すること、である。今年は2年目であり、米国、ウクライナ共和国での肝炎ウイルスの年齢階級別陽性率、肝がん死亡率を算出するために、具体的な調査を行うことを計画した。 (ウ継続調査)2008年5月Ukraine,Kievにて、研究協力者(Dr.LudmilaとMr.Edward:Kiev血液センター)と研究打ち合わせを行った。昨年度、政治的な状況下で日本でのworkshop参加が不可能となったため、今回、測定技術の標準化のための血清パネルを持参した。引き続き経済・政治が混迷する状況下では共同調査の進行に困難が伴うが、可能な限り研究協力が得られることを確認した。 (他国基礎調査)2008年5月Austriaで開催されるIPFA meetingに出席し、Dr.Nicoらとヨーロッパ諸国における共同研究の可能性について協議した。その際に肝炎ウイルス陽性率、罹患率の比較研究について協力を得られるとの合意を得て、2008年6月、スウェーデンMalmo大学、Dr.Anders Widellと研究打ち合わせを行い、北欧における肝炎ウイルス感染率について調査を行うこととなった。 (米基礎調査)8月〜12月に米国を訪れる計画であったが、双方の事情により困難となった。しかし、Dr.Buschとは、5月Austria IPFA meetingにて、昨年度行った血清パネルの測定結果について討議した。Dr.Murphyとは、メールと電話で連携をとっており、米国における肝炎ウイルス罹患率に関する疫学的文献について討議を続けている。この2年間にわたる共同研究で、当初の計画通りにすすめることが困難な場合もあったが、これまで蓄積してきたデータをもとに最終年度に向けて、分析・解析を行うための基礎資料を得ることが出来た。
|