研究課題
本研究の目的は、エジプト村落において、コミュニティ及び家庭内の女性の位置づけ(エンパワメントの程度)と、保健医療サービスへのアクセス状況(女性の健康改善)との関係を明らかにすることである。コミュニティ開発支援活動の効果に留意しながら、女性の意識・行動や保健医療サービス利用状況等を調査し、女性の健康改善を促進する社会的要因を分析する。平成20年度は、まず、19年度にエジプト中部ギザ県村落にて実施した、既婚女性217名に対する、健康状態・健康に対する意識・自己決定権等に関する面接調査結果を、引き続き統計的に分析した。女性の保健医療サービスへのアクセス改善には、地域社会との関わりと家族のサポート体制が関連していることが明らかとなり、平成20年度国際保健医療学会、及び国際開発学会にて発表した。現地調査は、より社会開発水準の低い南部で行うこととし、当初ケナ県を予定したが、治安等の理由からアスワン県に変更した。平成20年7月29日~8月11日に事前調査を行い、10月13日~11月13日、アスワン県村落での調査を計画した。しかし、9月末にアスワン県内で外国人誘拐事件が発生した影響もあり、アスワン市到着後、連日の要請にも関わらず、現地警察から外国人が村落に入る許可が下りず、調査を断念した。そのため、研究費を21年度に繰り越して研究計画を変更、アシュート大学関係者の研究協力を得て、南部アシュート県にて質的調査を実施することとした。平成21年10月27日~11月15日、アシュート県村落で現地調査を実施した。現地研究協力者とともに、5歳以下の子どもを持つ女性、夫、夫の母、計3グループに対するフォーカスグループディスカッションを行い、家族の状況、妊産婦健診、子ども・女性が病気のときの対応等について話し合ってもらった。アラビア語の記録を英語に翻訳し、コーディングして、質的分析を進めている。
すべて 2009 2008
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国際保健医療 24:1
ページ: 23-29
Am.J.Trop.Med.Hyg. 78:6
ページ: 957-961