研究課題
本研究の目的は、エジプト村落において、コミュニティ及び家庭内の女性の位置づけ(エンパワメントの程度)と、保健医療サービスへのアクセス状況(女性の健康改善)との関係を明らかにすることである。コミュニティ開発支援活動の効果に留意しながら、女性の意識・行動や保健医療サービス利用状況等を調査し、女性の健康改善を促進する社会的要因を分析する。平成19年度に、エジプト中部ギザ県村落の既婚女性217名に対して、健康状態・健康に対する意識・自己決定権等に関する面接調査を行った。平成21年度は、より社会開発水準の低いエジプト南部で調査することとし、治安等を勘案して、予定したケナ県からアシュート県に対象地を変更、アシュート大学関係者の研究協力を得て現地調査を実施した。平成21年8月下旬、アシュート大学にて現地研究協力者と協議し調査計画を作成した。家族状況、教育水準、保健医療サービスの利用状況、女性本人や子どもが病気に罹った時の対応、コミュニティ開発活動への参加等に関する、半構成的質問票を英語で作成しアラビア語に翻訳した。本調査は、10月10日~11月22日、アシュート市から日帰りできる距離にあって調査に同意の得られた村落3ヵ所にて実施した。5歳以下の子どもを持つ既婚女性205名を対象に、女性の大学教員が戸別訪問し、調査目的を説明して同意を得た後、質問票に沿って面接調査した。回答内容を確認後、匿名化してコンピューターに入力した。自由記述部分については、研究協力者が英語に翻訳した後、入力した。コミュニティ活動への参加と保健医療サービス利用状況等の関係を中心に、分析を進めた。大部分の女性がコミュニティ開発活動に参加したことがあること、まったく教育を受けていない女性と11年以上の学校教育を受けた女性がそれぞれ4割程度存在すること等、ギザ県村落での調査では認められなかった所見があった。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) 図書 (1件)
Critical Public Health (印刷中)
国際保健医療 24:4
ページ: 181-188
BioScience Trends 3:6
ページ: 239-246