研究課題/領域番号 |
19406025
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
東 健 神戸大学, 医学研究科, 教授 (60221040)
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研究分担者 |
宇賀 昭二 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (90071399)
吉田 優 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (00419475)
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キーワード | H.pylori / 消化器疾患 / 疫学調査 / 感染症 |
研究概要 |
Helicobacter pylori(H.pylori)感染は胃癌との関連が認められ、H.pyloriは1994年に世界保健機構より1群の発癌因子に認定されている。しかし、疫学的研究におけるH.pylori感染による胃癌発症のオッズ比は、約2~23と国や地域により大きく異なる。日本、韓国、中国では胃癌の発症が極めて高いが、フィリピン、タイ、インドネシアでは極めて低い。また、消化性潰瘍の中で、胃潰瘍の頻度は日本、韓国、中国北東部で高く、中国南部、タイ、インドネシアでは十二指腸潰瘍の頻度の方が高い。本研究では、H.pylori感染の病態解明のために、H.pylori感染の病態の民族差、「謎」、"Ethnical enigma"を明らかにすることを目的とした。 今年度は、H.pylori感染の病態を、中国、韓国、ベトナム、フィリピン、タイにおいて分子疫学的に解析した。とくに病原性因子CagAの分子多型をそれぞれの国で得られた臨床分離株を用いて検討したところ、我々の同定した東アジア型のCagAを持つH.pyloriの感染は、萎縮性胃炎、胃がんの発症と密接な関連が認められた。今後、これら疾患に対する高危険群に対し、発症予防のためのH.pylori除菌治療を行うなどのオーダーメイド医療へと展開することにより、アジアにおける胃潰瘍、十二指腸潰瘍、及び胃癌の発症率の低下が期待される。
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