アジアの多くの発展途上国では、母子感染(経胎盤および母乳による)、気道・経口あるいは血液を介する感染症による小児の死亡が多い。また、新興感染症が小児にも広がる危険性がある。感染症の広がりにはウイルス側の変異も大きく関係する。ウイルスの変異を知ることはより有効なワクチン開発に必要である。アジアでは経済的な理由で既に市販されている検査試薬も殆ど使われていない。従って今までわが国の研究者による子どもを視点とした継続的なアジアの感染症の研究は殆どなされていない。このような状況の下、最先端の方法で疫学、予防、治療を行うことが望ましいが、そのためにはわが国の研究者自身によるかまたは指導・援助が必要である。しかも緊急性を要する。ワクチンの開発を視野において(1)血液関連感染症の分子疫学調査(2)下痢症ウイルスおよびエンテロウイルス、コロナウイルスの診断と分子疫学的検索(3)呼吸器系ウイルス診断(4)小児のウイルス性感染症と環境汚染との接点を探る。
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