研究概要 |
1, 暗号プロトコルの安全性自動検証手法APSGに基づく自動検証ツールCryptoVerifの問題点の指摘と改良を行った.まず,Diffie-Hellmanの鍵交換プロトコルとGDH署名を例として,CryptoVerifが誤った検証結果を出力する場合が存在することを指摘した.前者の例では,理論的に安全と判定されるべき検証が異常終了のため安全と判定されず,後者の例では,安全だと判定されてはいけない検証段階で安全と判定され検証が終了してしまっていた.本研究では,それぞれに原因を突き止めCryptoVerifのソースコードを変更することで,以下のように上記の問題点を解決した. ・鍵交換:リストの比較の行い方を改良することで異常終了を回避し,正しく安全と判定されるようになった. ・GDH署名:変数の変換処理を改良し,検証段階を漏れなく判定するようになった.このように,CryptoVerifの実用性を向上することができたといえる. 2, 低資源向き認証プロトコルGPS方式とGPS+方式の拡張方式の提案を行った.前年度の研究において,GPS方式より必要メモリ量を削減した改良方式GPS+を提案したが,認証が確率1では成功しないという問題点があった.本研究では,秘密情報の秘匿性を高めることにより,必要メモリ量を減らしたままで認証成功確率が1となる新たな改良方式GPS++を提案した.これにより,RFIDタグなどのより低資源なデバイス向けの認証方式を実現することに成功したといえる.
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