研究概要 |
最大クリーク抽出のための分枝限定アルゴリズムにおいて最も重要である分枝限定のための近似彩色法を改良し,更に節点の整列を適切化することにより,従来よりも大幅に効率的な最大クリーク抽出アルゴリズムを開発し,計算機実験によりその高速性を確認した.この結果,従来アルゴリズムに対して,対象グラフによっては10倍,100倍以上に高速であり,特に枝が超高密度であるランダムグラフにおいては10万倍以上の高速化を達成していることを確認した.また,枝が疎である大規模グラフに対しても,基本アルゴリズムdfmaxに対して初めて2倍以上の高速化達成に成功した. 一方,一般グララにおいてはNP完全問題となる最大クリーク問題が,多項式時間的に可解となるための十分条件を詳細に検討し,これまでよりも一層単純なアルゴリズムにより同条件が満足される結果を得た.また,条件の付かない全く一般のグラフに対する最大クリーク抽出問題の最大時間計算量についても,これまでより一層単純なアルゴリズムと解析により,有意義な理論的計算量結果を得,さらなる時間計算量改善達成の基礎を確立した. これまでの研究成果として得ていた極大クリーク全列挙法を基礎として,バイオ医療データベースにおけるデータマイニング法を開発し,メタボリック症候群の肥満,高血圧,糖尿病,高脂血症に関係する遺伝子間の関係を自動抽出し,有意義な関係を明らかとすることに成功した. この他にも,画像処理,データマイニングや計算量に関する優れた結果を得た.
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