研究概要 |
1.山田等が提案した,シンドローム形成器のトレリスを用いて符号パス(符号語)を表現する方法は,畳込み符号の最小トレリス単位を構成する手段を与えているが,対象とする畳込み符号の符号化率(rと書く)は(n-1)/nに限定されている。これに対し,一般のr=k/nに対するシンドローム形成器の回路実現を行い,これを利用して,山田等の方式を一般のr=k/nへ拡張した。 2.r=k/nへ一般化された山田等の方式とSidorenko等により提案されている方式の関係を調べ,両者は基本的に同等であることを示した。 3.畳込み符号のエラートレリス単位の構成法について詳細に考察した。特に,Ariel等によって提案されている,(検査行列H(D)から導かれる)スカラー検査行列に基づく方法とシンドローム形成器の回路実現に基づく方法との関連を調べた(H(D)はcanonicalとする)。まず, H(D)の全ての列がD^jの形の因子を持たない場合は,両者は同等であることを示した。 4.特に,H(D)のある列(行)が因子D^j(D^i)持つ場合について,エラートレリスの構造を調べた。その結果,(1)ある列が因子D^j持つ場合:エラー系列に対し,因子を持つ列に対応する成分系列をj時間シフトすれば,Ariel等の方法と同等の結果が導けることを示した。 (2)ある行が因子D^i持つ場合(注:H(D)はcanonicalでない):シンドローム系列をi時間シフトすれば,より状態数の少ないエラートレリスを用いて元のエラー系列を表現できることを示した。 これらは,エラートレリス構造に関する基本的な結果であり,来年度の研究に繋がるものである。
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