研究概要 |
本研究の目的は,回路の素子数や段数の最適性が証明できる具体的関数を「人工的」に作成し,その関数を論理設計CADなどの自動設計システムの評価に役立てることである.本研究の第一目標は,計算機モデルの言語受理能力が,計算資源のほんのわずかな増加で,真に上昇するという「計算量クラスの階層性」を理論的に証明することである.本年度は,(1)Seiferas, Fischer, Meyerによって,チューリング機械(TM)に対して導入された「再帰的詰め込み論法」という証明技法を,非決定性セルオートマトンに適用し,計算時間に基づく受理言語族の厳密な階層定理を導出した.本結果は,Springer社のLecture Notes in Computer Scienceの4484巻に掲載された.次に,(2)対数時間一様な論理回路族は,段数を(1+ε)倍に,段数を(1+ε)乗に増やせば,計算能力が真に上昇するという回路計算量クラスの階層定理を証明した.本結果は,国際学術雑誌Acta Informaticaの44巻に収録された.
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